腕時計の磁気の影響について
アナログ式クォーツ時計は、針を動かす為に磁気の性質を利用してローターを駆動させる極小の“ステッピングモーター”を採用しております。
この“ローター”には永久磁石が使用されており、強い磁気を発生させている物に近づけると磁気により一時的にローターが引っ張られ正常に回転しなくなりますが、磁気環境から離すと時計は正常に作動します。
この事により、磁気の影響を受けた分だけ「遅れ」や「進み」として表れます。
械式時計についても同様に、磁気の影響により“テンプ”が正常に回転しないため精度が乱れる事があります。
※この症状は故障ではありません。磁気から遠ざければ時計は正常に運針しますので、時刻を修正してご使用ください。
(日常生活において、身の回りに磁気を発生させている製品は多くあります。時計を今までと違った場所に置き、様子を見ることにより原因が判明する場合があります。)
ところが、何度も強い磁気環境下に時計があるとムーブメントの金属部分に磁気が残留してしまいます。残留した磁気が“ローター”または“テンプ”へ常に影響を与えている状態になり、継続的に「進み」「遅れ」「止まり」といった症状が起こります。
※この場合は磁気抜きを行なう必要があります。
お客様には時計と磁気との関係をご理解頂き、これからも末永くご愛顧をお願い申し上げます。
磁気の性質と種類
磁気の性質
磁気の強さは距離の2乗に反比例し、距離が3倍になると磁気の強さは9分の1になります。
つまり、磁気を発する物から時計を離せば影響が小さくなります。
磁気の種類
磁界とは、磁気(磁場)作用が及ぶ影響範囲のことで直流磁界(永久磁石や乾電池式の電磁石などから生じる磁気の範囲)と交流磁界(交流電流を使用することで生じる磁気の範囲)とがあります。
磁気を発生する主な製品
直流磁界:磁気健康用品・冷蔵庫のドア・ハンドバッグなどの留め金に使用しているマグネット・オーディオスピーカー・ヘッドフォン・心電図などの医療器具など
交流磁界:電気シェーバー・電磁調理器・電動マージャン台・電気カーペットのコントローラー・ACアダプターなど
磁界の強さの目安
製品名 | 磁界の強さ(単位:A/m) | ||
---|---|---|---|
密着状態 | 5cm離れた状態 | ||
紙止め用磁石 | ~71,600 | ~1,200 | |
テレビ・オーディオスピーカー | ~20,000 | ~3,200 | |
携帯電話のスピーカー部 | ~22,400 | ~1,600 | |
携帯オーディオのスピーカー部 | ~12,000 | 0 | |
家電・家具の開閉磁石 | ~64,000 | ~3,000 | |
電気シェーバー | ~11,900 | ~800 | |
ハンドバッグの留め金 | ~72,000 | ~240 | |
磁気健康用品(エレキバン等) | ~144,000 | 0 |