腕時計のリューズとはどこのこと?腕時計の専門用語を解説

 

腕時計って身近なモノなのに一つ一つのパーツの名前までは意外とわからないものですよね。今回は時刻合わせなどの重要な役割を担うリューズについて解説をします。
リューズは「竜頭」とも記載し、以前は漢字での表記が多かったですが、現在ではカタカナで記載される事が多くなっています。

腕時計のリューズってどの部分?

リューズは時計のサイドについている小さなつまみの事で、基本的には腕時計のフェイスの右側についています。パネライやブライトリングなど大径の腕時計を製造するメーカーの一部のラインナップには左側についているものもあります。

リューズが腕時計の右側についている理由としては、左手につけることを前提とした時に、右手で操作がし易いような設計となっています。

また、左側に付いているものに関しては、大径の時計に多く採用される仕様となっており、これは右手につける時計と言うわけでは無く、左手に付けてた場合に、手首を返すと手の甲にリューズが当たり手を痛めてしまうことがあるため手首と反対側に付けられています。

腕時計のリューズの由来は?

腕時計の話題が出るたびに、絶対に欠かせないキーワードと言えば、「リューズ」。リューズとは腕時計の設定に使われる「つまみ」のことを指し、この操作性も腕時計に対する評価へ大きく影響を与えていくのです。

それでも、このリューズという名前の由来は何なのでしょうか?実は、正式には竜頭(りゅうず)と呼び、これは寺院などの鐘を吊り下げるための輪っかである「紐(ちゅう)」と呼ばれる金具が、まさに竜頭と呼ばれていたことが起源とされます。この鐘の竜頭は、実際に竜の形をしていたことから、その名前が付いたのは言うまでもありません。

また、江戸時代にはすでに舶来品として日本に入ってきていた懐中時計。その多くは吊り下げるために、時間設定用のつまみの上に輪っかが付いています。これが鐘の上に付いてる竜頭に似ていることから、腕時計のつまみも竜頭つまりリューズと呼ばれるようになったとされます。

確かに、多くの腕時計のリューズは、出っ張り具合も竜の頭に似ていますし、モデルによってはモノを申すような勢いが感じられるタイプもあるでしょう。

腕時計のリューズにも種類がある?

引き出し式

さて、腕時計のリューズを見ていく場合に最もメジャーなものは、やはり「引き出し式」です。その構造自体がシンプルであることから、市場の大半を占めるカジュアル・ファッション系の腕時計に搭載されています。

腕時計ビギナーであっても、すんなり操作することが可能なため、このことも多くのメーカーがメインのリューズタイプとして認識している大きな理由かもしれません。

ねじ込み式

そして、もう一つのリューズのタイプが「ねじ込み式」。実は、これも引き出して設定するので、引き出し式の1つでもあるのですが、ちょっとした機構の違いがあります。

それが、引き出す際に、回転しながら出さなければならないことです。これは、リューズの損傷を防止するのに役立ち、衝撃によってリューズが飛び出してしまうこともありません。

よって、設定後に引き出した部分を押し戻すだけでなく、さらに中にねじ込むように格納が必要であることから、ねじ込み式とあえて名付けられているわけです。

また、リューズと本体の間に隙間が生じにくいこともあり、防塵性・防水性の維持に大いに力を発揮し、過酷な環境での使用が想定されるアクティブな腕時計が、このタイプのリューズを搭載しています。

腕時計のリューズの役割とは?

続いてリューズの役割について解説していきたいと思います。

リューズは「手巻き式」の腕時計のゼンマイを巻く為に使われたり、時刻、カレンダーを合わせる為に使われます。

今では電池式の時計(クォーツ時計)が主流になっていますが、腕時計は本来、ゼンマイによって稼働する手巻き式のものが主流でした。

したがって、腕時計の黎明期にはゼンマイを巻き上げる役割を担うためのつまみでした。

現在では時刻、カレンダーなどを合わせる事が主な役割になっています。時刻を合わせる際はリューズを引く事によって中のゼンマイが噛み合う仕組みとなっている為、リューズを引いてから回します。

ちなみに腕時計によっては引く位置によって短針、長針、日付、などと調整できる場所が変わる物もありますので調整をする際には取り扱い説明書などをよく読んでから行うのが良いでしょう。

腕時計のリューズを扱う際に注意すべき点とは?

逆方向に回さない

リューズは回転して、各種設定を行うことから、実は回転する適切な方向についても事前に認識しておかなければなりません。

多くのモデルでは、時計回りとも言われる右回りに回転させて設定を行います。ただし、左回りで設定するモデルもないとは言えません。

しかし、より注意しなければならないのが、逆方向に回さないようにすること。腕時計のモデルによっては、逆方向に回しても何ら操作に影響をおよぼさないタイプもありますが、事前に確認せずに逆に回してしまうと機構に損傷を来す可能性もあるので十分に注意したいところです。

回しすぎない

また、特に機械式であれば、リューズは腕時計の各種設定だけでなく、手動によるゼンマイ巻きにも活用できる重要なパーツです。しかし、この場合によくありがちなのが、リューズを思い切って回しすぎてしまうこと。

多くのユーザーは、ゼンマイ巻きの際に力を入れて進めてしまう傾向にあり、その場合に勢い余って回してしまい、ストッパーを損傷してしまうケースは現在でもあります。

そのため、リューズを回す際は、ストッパーの存在を常に念頭に置き、慎重にゆっくりと少しずつ回していくことを心がけましょう。

日付を変更する際は禁止時間に気を付ける

腕時計をあまり使ってこられなかったユーザーにとって、非常に意外な部分と言えば、腕時計にはモデルによって、「日付を変更するための禁止時間帯」が設定されていることかもしれません。

これは機構の複雑なアナログ式の腕時計でよくありますが、そのメカニズムの事情により、日付が変わる前後4時間(夜8時~朝4時)において、日付変更が禁止されている場合があります。

もちろん、モデルによってはこの禁止時間帯がない場合もありますが、もし購入された腕時計に存在する場合は、機構を損傷しないように十分に注意しなければなりません。

リューズが壊れた時の対処法

腕時計の内部は非常にデリケートで繊細な構造になっており、唯一外に出ている部分がリューズに当たります。

実はリューズは非常に壊れやすい部分となっており、不具合の多くはリューズが抜けてしまった!という症状となっています。

また、抜けてしまわなくても内部の歯車がうまく動かなくなり、回しても針が動かないと言うこともよくある事です。

そもそもリューズは強く引く必要はなく、爪などをケースとリューズの間に入れるような弱い力でも引き出す事が出来るのでリューズを引く際に力を入れ過ぎないという注意が必要です。

また、ダイバーズウィッチなどの防水性の高い時計は、水中での利用も前提としている為、気圧の変化によってリューズ浮いてこないようにネジ式になっているものもあります。お使いの時計のリューズがどのような構造なのかは事前に把握しておく必要があります。

合わせて、何らかの原因でリューズが抜けてしまったという時の対処法についても解説していきましょう。

リューズは抜けてしまった段階ではまだ、簡単に治すことが出来る場合が多いです。

抜けてしまったリューズをゆっくり、垂直に元の位置に戻せれば問題無く動く事がほとんどですが、差し込む際に少しでも位置がずれると内部の歯車に当たり、腕時計の心臓部であるムーブメント自体が故障してしまうリスクもあります。

したがって、リューズが抜けたなどの場合は自分で治すことも出来るものの、時計屋など專門の方に診てもらう方が無難です。

リューズを差しこむだけなら数百円程度でやって貰うことが出来ますが、もしムーブメントが壊れてしまったら、時計本体を購入するより高額な修理代がかかる場合も珍しく無いですからね。

まとめ:腕時計のリューズとはどこのこと?

今回は時計のパーツの一つである「リューズ」についての解説をしました。なんとなくわかるけど、ホントはイマイチよくわかっていないなんて事も多い腕時計のパーツの話。リューズは非常にデリケートな部分なのでお使いの時計のリューズはどんな構造なのかを理解して大切に時計を使って行きましょう!

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