キングセイコーとは?グランドセイコーとの違いを専門店が解説
数々の魅力的な腕時計シリーズを有する「セイコー」。その中で、近年注目を集めているシリーズがあり、その名も「キングセイコー」と呼ばれています。
キングセイコーは、カリスマ的でありながら、控えめなシンプルさをデザイン性に反映したモデルシリーズ。ネーミングのよく似た「グランドセイコー」と混同してしまいがちですが、そのためにかなり比較の対象にされることもあるでしょう。
今回は、キングセイコーに関する知識を深めるとともに、グランドセイコーとの関係性にも触れていき、それぞれの人気おすすめモデルもご紹介して参ります。
キングセイコーとは?

アンティークらしいエレガントさを追求した「グランドセイコー」は最高峰を意識したシリーズであるのに対し、「キングセイコー」は身の丈に合った高級感を携えたエレガントさを追求するシリーズです。
もともとキングセイコーは、1960年代から」1970年代半ばにかけて販売されたもので、「一般の腕時計ユーザーが現実的に購入できる」高級モデルをコンセプトにしていたシリーズであり、この部分がグランドセイコーとは大きく異なる部分でしょう。
しかしながら、キングセイコーは、その機能性や風格を取ってみてもグランドセイコーも同様にレベルが高く、中古市場でもレアアイテムとして未だ根強い人気を誇ることでも知られます。
それでも、キングセイコーは現在ブランドが復活したこともあり、アンティークモデルとしての新たな姿を現代ユーザーに披露しているのです。もっと驚きなのは、現代に復活したキングセイコーのイメージキャラクターに、今や時の人であるメジャーリーガー・大谷翔平さんが就任していることでしょう。
つまり、キングセイコーは、機械式としてのアンティークなコンセプトはそのままに、機能性・デザイン性に現代的解釈を施しながら、現代人に新たな価値観を提案できる腕時計シリーズへと生まれ変わったのです。
キングセイコーとグランドセイコーの比較

コンセプト
さて、ここからはキングセイコーとグランドセイコーを比較してみましょう。前の項でも少し触れましたが、この2つのシリーズはその開発コンセプトがハッキリと異なっています。
グランドセイコーが、セイコーの高級腕時計として前面に押し出されたシリーズである一方で、キングセイコーが、登場した当時からグランドセイコーとは路線の異なる、いわゆる日本発の機械式腕時計としての姿をハイライトしたシリーズなのです。
もちろん、2つのシリーズともに高級路線腕時計であることに変わりはありませんが、ターゲットとなるユーザーが異なり、ユースケースにおける志向性も意識的に差別化が図られているでしょう。
誕生した工場
また、誕生した工場の違いも、キングセイコーとグランドセイコーを差別化できる部分。キングセイコーが誕生した場所は、東京都亀戸の旧・第二精工舎であり、グランドセイコーが誕生した場所は、長野県の旧・諏訪精工舎となっています。
つまり、2つのシリーズはネーミングさえ似てはいるものの、そのルーツには大きな違いを持って生まれてきたというわけです。
現在、旧・第二精工舎はセイコーインスツルと名称変更し、腕時計製造事業から分離されています。旧・諏訪精工舎は、現在はセイコーエプソンと名称変更し、オリエント腕時計のオリエントスターやオリエントブランドなどの製品開発・生産および販売を行っていることでも知られます。
セイコーとの関係
さらに、キングセイコーとグランドセイコーに対する位置づけとして、最も大きな違いと言えば、製造元であるセイコーとの関係性かもしれません。
それというのが、キングセイコーはセイコーに属する腕時計シリーズという位置づけである一方、グランドセイコーはセイコーとは別のブランドという位置づけを持っています。
このようなブランド運用方式は、例えば、トヨタ自動車の「レクサス」が最たるものですが、そういう意味でもグランドセイコーは非常に格式の高いブランドとして、セイコー本体からも認識されていることが理解できるのではないでしょうか。
キングセイコーとグランドセイコーはどちらが上?

さて、これまでのキングセイコーとグランドセイコーの比較内容を見た場合、結局はどちらが上なのかという疑問を抱く方もおられるかもしれませんね。
率直に申し上げると、機能性やユースケースにも違いのない状況を見ても、どちらが上であるということは判断が非常に難しいでしょう。
それに、キングセイコーもグランドセイコーも異なる愛好家が存在していることもあって、いわば共存的な関係を持つシリーズであるとも言えます。
ただ、高級腕時計を持つというステータスを考慮する場合、知名度・販売価格で判断するとすれば、グランドセイコーのほうに軍配が上がる可能性は非常に高くなるはずです。
キングセイコーとグランドセイコーはどっちがいいの?

そして、キングセイコーとグランドセイコーとでは、結局どちらがいいのか?という問いかけも、実は多くのユーザーが注目するところ。
まず、販売価格から見てみると、ブランド復活したキングセイコーは、200,000円~400,000円前後で購入できる控えめな高級さを持ち、グランドセイコーになると、やはり500,000円を超えるラグジュアリーさを見せるモデルも多くなるでしょう。
機能面や精度から見てみると、グランドセイコーは機械式だけでなく最高級のクオーツ式ムーブメントも採用。代表的な9Rスプリングドライブはもちろん、9Sメカニカルや9Fクオーツなど、年差±10秒レベルのものがほぼ標準的に搭載されており、高級さと精度の高さのバランスを常に意識して開発されています。
一方で、キングセイコーは機械式キャリバー6Lや6Rシリーズが搭載されているモデルが多く、日差がおおむね+15秒~-10秒程度と、精度に関してはやはりグランドセイコーに若干見劣りします。
しかし、それでも、他のブランドの同じような価格帯のモデルとこの2つを比較すると、非常に高い機能性を発揮。いわばキングセイコーは30代から40代のサラリーマン向け、グランドセイコーは50代や経営者層向けという見方もできそうです。
キングセイコーのおすすめモデル3選
【キングセイコー】おすすめモデル1.SDKS005
ブラックの文字盤に、オーソドックスなバーインデックス。フルメタルの透き通るようなその姿は、現代に満を持して生まれ変わった腕時計の強い誇りも感じさせます。
少し厚めのボディと、薄めのブレスレットもマッチしていて大変印象的。装着感にもこだわったモデルであり、あらゆるシーンにおいてユーザーを輝かせることでしょう。
新品価格:¥220,000
【キングセイコー】おすすめモデル2.SDKS001
このモデル「SDKS001」も、上記の「SDKS005」と同様に、セイコーの往年の腕時計「KSK」を現代に蘇らせたもの。シルバーに包まれた物憂げな表情こそが、このモデル最大の魅力であり、多くの人を惹き付ける理由なのです。
文字盤のシルバーも光の作用によって、放射状に広がりを見せるような、不思議な視覚作用を演出。どの角度から見てもミステリアスさを失わない風格が、大人の腕時計としての象徴的な存在にもなっています。
また、文字盤にあえて同化することのない、二等辺三角形のような長短針も、いわば極太のハイライト。渋さとスマートさを調和させたこのモデルは、年代を問わずに愛されること間違いないでしょう。
新品価格:¥212,200
【キングセイコー】おすすめモデル3.SDKA005
このモデルも「KSK」をモチーフにした腕時計ですが、とにかく隙のない、ブラッシュアップされた姿が大きな特徴。ブレスレットを含め、全体的に薄いボディが現代的な日本人像と大きく被るようです。
曇りのないホワイトの文字盤は、現代っ子らしい率直なイメージ。艶の残るメタリックは、今では賛否両論ではあるものの、それでも有無を言わせずにエレガントさを発揮できるのは、このモデルにしか出せない不思議な力なのかもしれません。
新品価格:¥411,100
グランドセイコーのおすすめモデル3選
【グランドセイコー】おすすめモデル1.SBGX331
引き続き、グランドセイコーのおすすめモデルまでチェックしましょう。落ち着いたメンズにふさわしいモデル「SBGX331」は、ビジネスライクなデザインでありながら、懐の大きい、柔和な雰囲気が一番のセールスポイントです。
極薄のボディに、装着感の極めて高いクロコダイル質レザーベルト。球面のようなサファイヤガラスカバーも非常にクリアで、腕時計にとどまらない格調の素晴らしさを見せてくれます。
身に着けていることさえも忘れてしまいそうな、多くを語らない大人の魅力も満載。最高のクオーツムーブメントを搭載したモデルだから、いつどこにいても正確な時間運用を実現してくれることでしょう。
新品価格:¥451,000
【グランドセイコー】おすすめモデル2.SBGN029
そして、グランドセイコーのスポーティなモデル「SBGN029」。現代モデルらしい、GMT機能搭載タイプで、そのレッドの針が一抹の情熱を感じさせます。
お洒落なデザインと言えば、インデックスの奇数時間表示と、ベゼルの偶数時間表示が上下交互に設定されていること。視認性を格段にアップさせているだけでなく、全体的に表情も豊かになっているでしょう。
スポーティタイプにしては、大変コンパクトな腕時計。りゅうずの位置も人間工学的に配慮されたユーザーフレンドリーな設計で、さらにメタルモデルとしてのファッション性も忘れてはいない、大変バランスの良いツールです。
新品価格:¥451,000
【グランドセイコー】おすすめモデル3.SBGM245
最後に、上記の「SBGN029」よりも、より視認性を高め、洗練された姿を実現したのが、この「SBGM245」。文字盤カラーも若干グラデーションが入っており、飄々とした雰囲気の中に深みを感じさせます。
吸い込まれそうな立体感も見事。凹凸感のあるインデックスを含めて、とにかく見どころの詰まった腕時計に仕上がっているのです。
実直なようで、斜に構えたような二面性のある、不思議な個性。それでも、実用性は申し分ないところが、グランドセイコーモデルとしての凄さであり、多くのユーザーが納得せざるを得ない要素でもあるでしょう。
新品価格:¥759,000
まとめ:キングセイコーとは?グランドセイコーとの違い
キングセイコーとグランドセイコー。お互いルーツの異なるシリーズでありながら、宿命的で、不思議な関係性を構築してきたと言えます。
また、ユーザーによっては、キングセイコーはグランドセイコーの二番煎じなのではないかと思う方もおられるようですが、これは全くの誤解。もともと、異なるコンセプトを持って生まれた一般ユーザー向けのシリーズなのです。
しかし、デザイン性や風格などは大いに共通する部分も否定できない、この2つのシリーズ。実際に2つとも身に着けたことのあるユーザーの意見を耳にすれば、それぞれ異なる個性が垣間見られると言われることもあります。
それでも、少しでもリーズナブルな高級性を享受したいユーザーであれば、キングセイコーを選ぶのは必然的。現代的アンティークの極みをぜひ感じてください。
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